皆さんこんにちは、季ラリです。
今回のテーマは、「生活保護受給者の就労指導はどんな人が対象?稼働年齢層でも従わず回避できる方法を徹底解説」です。
生活保護受給者の方の中には、「いつ働かされるのか?就労指導が入るのか?」と不安に思っていらっしゃる方が沢山おられることと存じます。
また、これから生活保護を受給しようと考えておられる方につきましても、「生活保護を貰えたとしてもいずれ就職活動しなけれなばらないのかな?」と疑問に思っていらっしゃる方、沢山いらっしゃるのではないでしょうか。
皆さんご存じのとおり、「生活保護制度」は日本人の「最後のセーフティネット」として機能しています。
そのため、「働けるのに働いていない」というのは、「使える資力を全部使っていない」ということになりますので、生活保護を受給する権利がない方という扱いになってしまいます。
しかしながら、一定の要件を満たせば「就労ができない人」として就労指導を回避できることがありますので、その要件について詳しく説明をさせていただきます。
また、「就労可能な方が就労指導に従わないとどうなってしまうのか?」「具体的に就労指導とはどんなことが行われるのか?」についても、現役ケースワーカーであるわたしの妻にインタビューして詳しく聞いてきましたので合わせて説明させていただきます。興味を持っていただいた方は是非最後まで読んでいってください。
生活保護受給までの流れについて知りたい方は、
「生活保護を受けよう!|相談から保護決定まで~生活保護の受け方と生活保護申請に必要なものを徹底解説~」
の記事に詳しく記載していますので、こちらも合わせて読んでみてください。
もう一つ宣伝になりますが、以下の『生活保護で生きちゃおう!崖っぷちのあなた!死んだらダメです。』という本、「お金に困窮して死ぬほど辛い思いをしている」「路頭に迷うかもしれないけど仕事を辞めたい」という方に是非読んでいただきたいおすすめの本なので紹介させていただきます。
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この記事が参考になる人
・稼働年齢層で生活保護を受給されている方
・仕事を辞めてこれから生活保護を受給したいと考えている方
・生活保護の就労指導に悩まされている方
・生活保護の就労支援を受けてみたい方
生活保護受給者への就労指導は何歳までされるのか?
現在の生活保護制度では、「稼働年齢層」と定義されている「15歳から64歳までの方」で「就労阻害要因が少ない方」が就労指導により、「経済的自立(生活保護の脱却)」を目指して働くように促されます。
なお、ここにいう「就労阻害要因が少ない方」については、後のブロックで説明させていただきます。
平成17年に導入された生活保護制度の「自立支援プログラム」では、生活保護受給者の状況に応じて、「経済的自立」「社会生活自立」「日常生活自立」の3つの自立を目指すよう求められています。
現状、日本では「定年退職」の年齢が65歳となっていますので、この年齢に達した方は「経済的自立(生活保護の脱却)」ではなく、「社会生活自立(地域社会との繋がりの維持)」「日常生活自立(健康的な生活を維持)」に向けた援助方針が立てられることになります。
就労指導を無視して従わないとどうなるのか?
では、就労指導の対象者であるにも関わらず、ケースワーカーの指示に従わず無視し続けるとどうなってしまうのでしょうか。
まず、就労指導に関して生活保護法第27条には、以下のとおり規定されています。
生活保護法第27条(一部抜粋)
(指導及び指示)
第二十七条
1保護の実施機関は、被保護者に対して、生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができる。
2 前項の指導又は指示は、被保護者の自由を尊重し、必要の最少限度に止めなければならない。
3 第一項の規定は、被保護者の意に反して、指導又は指示を強制し得るものと解釈してはならない。
(相談及び助言)
第二十七条の二
保護の実施機関は、第五十五条の七第一項に規定する被保護者就労支援事業及び第五十五条の八第一項に規定する被保護者健康管理支援事業を行うほか、要保護者から求めがあつたときは、要保護者の自立を助長するために、要保護者からの相談に応じ、必要な助言をすることができる。
「保護の実施機関は、生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができる。」とはっきり明文化されています。
この「指導又は指示」は、無視した場合以下の流れで厳しい処分に移っていきます。
指導又は指示に従わなかった時のフロー
口頭指導(生活保護法第27条第1項)
↓
書面指導(生活保護法第27条第1項)
↓
弁明の機会の付与(生活保護法第62条第3項)
↓
福祉事務所のケース診断会議での審議
↓
生活保護の廃止(停止)
ケースワーカーの指示に従わなかった場合、最初に「口頭指導」がされます。
これは、単に口頭で「就職活動してください」と伝えられるものではなく、所轄の福祉事務所に呼び出され、担当のケースワーカーより、「生活保護法第27条に基づく口頭指導です。」と必ず前置きをされたうえで、「●●日までに●●を行い報告すること。」といった形で具体的な指示が伝えられます。
この「口頭指導」は、ケースワーカーの「ケース記録」にしっかり残されますので、一度口頭指導を食らってしまうと、その後生活保護を受給し続ける限りその記録は消えません。(クレジットカードの滞納履歴と同じようなものだと考えてください。)
そして、「口頭指導」についても無視して行動しなかった場合には、「書面指導」が行われます。
ここで手渡される書面は、自治体の公印が押印された公文書ですので、受給者が自治体の処分に不満を持って「審査請求」を行った場合の、裁判の根拠資料としても大きく効力を持つものとなります。
この「書面指導」においても、「口頭指導」の場合と同様、「●●日までに●●を行い報告すること。」といった形で具体的な指示が書いた文書が手渡されます。
「書面指導」も所轄の福祉事務所に呼び出されて行われるものですが、「口頭指導」と大きく異なる点は、担当のケースワーカーのほかに、上席である「査察指導員」という係長級の職員が同席のもと行われる点です。
この「書面指導」が改善する最後のチャンスだと思ってください。次のステップにいってしまうと、よっぽどのことがない限り、生活保護の廃止(停止)は免れません。
次のステップ「弁明の機会の付与」についても福祉事務所に呼び出されて、担当のケースワーカーと上席である「査察指導員」が同席のもとで行われます。
本「弁明の機会の付与」は、「口頭指導」「書面指導」でケースワーカーの指示に従えなかったことについて、「やむを得ない事情があったか」という点に絞って、弁明の機会が与えられます。
ただ、2回もチャンスがあったにも関わらず無視をして指示違反をしていることから、よっぽどの事情がない限り弁明は認められません。
具体的には、
・入院をしていて指示に従える環境になかった
・大災害に巻き込まれて就労どころではなかった
など、合理的な説明がつく事情でなければ却下されます。
「生活保護受給者の弁明の内容について合理性があるか」については、福祉事務所内の上席と担当ケースワーカーが集まって開催される、「ケース診断会議」にかけられて組織的に決定されます。
「弁明の機会の付与」に至った時点で、90%以上の確率で「生活保護の廃止(停止)」を決定されると思っておいて良いでしょう。
生活保護受給者に対して行われる就労指導(就労支援)はどんなものか?
ここまでの内容で、ケースワーカーの「就労指導」を無視した場合にどのような処分が下されるかご理解いただけたかと思いますので、次に、実際に経済的自立を目指すことになった場合に「生活保護受給者に対して行われる就労指導(就労支援)はどんなものか?」という点について説明をさせていただきます。
「就労指導(就労支援)」の内容については生活保護受給者の状況に応じて、大きく以下の2パターンに分類されることとなります。
パターン① 自ら就職活動が可能な者と判断された場合
・就職活動報告書の提出を求められる
・定期的にケースワーカーと面談し就職活動の状況について報告を求められる
パターン② 自ら就職活動ができない者と判断された場合
・福祉事務所の就労支援プログラムへの参加を求められる(就労支援員をつけられる)
・就労支援員やハローワークの職員と定期的に面談しサポートしてもらいながら就職活動を進める
パターン①に記載している「就職活動報告書」とは、「●月●日にハローワークに相談に行った」「●月●日に●●株式会社の面接を受けた」など、活動内容と日時を明確に報告するもので、この「就職活動報告書」をケースワーカーが確認し、「就職活動が自分で進められていない」と判断されると、パターン②の流れに移行することもあります。
パターン②記載の「就労支援プログラム」に参加すると、担当の就労支援員と一緒にハローワークの出張相談を受けることで、所轄のハローワークと繋げて貰えますので、「1人でハローワークに行くのは気が重い」という方は是非参加したい旨を担当のケースワーカーに伝えてみてください。
稼働年齢層でも合法的に就労指導を回避する方法は?
最後に、皆さんが最も気になっていた内容であろう、「稼働年齢層でも合法的に就労指導を回避する方法」について説明をさせていただきます。
最初のブロックで説明をさせていただいたとおり、「就労指導」の対象となるのは、
・稼働年齢層たる15歳から64歳までの方
・就労阻害要因が少ない方
の両方の要件を満たした方です。
では、「就労阻害要因が少ない方」か否かの判定を福祉事務所は何によって行っているのでしょうか?
それはすばり、かかりつけの医師より入手した「病状報告書」です。
ケースワーカーは医師ではないため、医学的見地から「その人が就労可能かどうか」を判断することができません。
そのため、受給者のかかりつけの医師より入手した「病状報告書」によって客観性を担保しているのです。
ちなみに「病状報告書」には、受給者の病名と病状を文章で報告する欄があり、それに加えて、
・フルタイム労働可能(6~8時間)
・事務系フルタイム労働可能(6~8時間)
・パートタイム労働可能(3~5時間)
・軽労働可能(B型作業所など)
・就労不可
といった内容の5段階の選択肢で、受給者の就労可否を報告する書式になっていますので、下2つのどちらかに丸を付けて貰えれば就労指導はされません。
生活保護受給者の方の中で、「今は就労は難しい状態だ」と感じている方がいらっしゃいましたら、担当のケースワーカーから「病状報告書」の書式を貰って、かかりつけの先生に相談して記入してもらいましょう。
おわりに
皆さん、いかがだったでしょうか。
生活保護制度における就労指導はあまり公にされておらず、内容について「知らなかった」という方も多かったのではないでしょうか。
人間何十年も生きていると、「精神的に参ってしまってどうしても働けない」という時期は一度はあると思います。
そんな時は、遠慮なく福祉の制度を活用して、ゆっくり休んでみることも非常に大切なことだとわたしは考えます。
そして、また元気になって働けるようになった時に、お世話になった分恩返しすれば良いのです。
本記事が、今人生のどん底にいて、悩んでいらっしゃる方にとって少しでも貢献できる記事になれば嬉しく思います。
これからも皆さんの生活に役立つ記事を沢山書いていきたいと思いますので、共に学び成長していきましょう。
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