皆さんこんにちは、季ラリです。
突然ですが皆さん!Excelに対して苦手意識を持っていませんか?
起業して間もない、副業を始めて間もない、という頃を想像すると
『初仕事を終えたものの相手に送る請求書を用意していなかった』
『Excelなんてほとんど触ったことがないから請求書は手書きで書いている』
このような状態に陥っている読者の皆さん、多いのではないでしょうか?
フリーランスや副業で事業を始めると、税務申告や経理業務など全てご自身で担わなければならず、Excelのスキルが高いと非常に大きな武器になります。
そこで今回は、大手企業の経理専門職員として従事し、過去1000社以上の取引先との契約に携わったわたしが、
Excelで作成する請求書フォーマットの作り方
について、初心者の方にもわかりやすいように丁寧に解説していきたいと思います。
この記事を最後まで読んでいただくと、どんなにExcelが苦手な人でも簡単に請求書が作れるほか、実際に手を動かすことによりExcel操作の基礎となる「印刷範囲の設定」「セルの結合」「文字列の揃え方」「ユーザー定義」などの内容を深く習得できます。
なお、このページの一番最後に、Excel版請求書フォーマットの完成版書式をダウンロードできるようにしています。すぐにフォーマットだけ使用したいという方は、そちらをご使用ください。
請求書ってそもそも作る必要あるの?
個人でビジネスをするときには避けて通れないのが「請求書」の作成です。
特に、取引相手が消費税を納税するくらいの大きな会社や事業主であれば、請求書は税金の控除のための根拠資料となるため、発行を必須とされることが多いと思います。
また、「口約束」ではなく書面で「履行確認」と「相手先への対価の請求行為」を行うことで、支払いに関するトラブルを避けることができます。
請求書にはどんな項目を盛り込めば良いの?
取引の証明としても重要な意味を持つ「請求書」ですが、実は法律的に決まった形式やテンプレートがあるわけではありません。
国税庁においては、下記5項目について請求書に記載することを要求しています。
«国税庁が請求書への記載事項として挙げている項目»
①書類作成者の氏名または名称
②取引年月日
③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④税率ごとに区分して合計した税込対価の額
⑤書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
販売するサービスや商品によって、取引単位や取引内容についての記載方法は大きく異なります。
ここから請求書フォーマットの作成に入っていきます。実際に手を動かして、一緒にオリジナルのExcel請求書を作成してみましょう。
Excel初心者でも簡単!請求書フォーマットの作成手順
今回は例として、以下の契約における請求書を作成していきます。
本デザイン事務所では、季ラリブログ株式会社との間でブログデザインの業務委託契約を締結し、令和5年4月30日に無事契約を履行したため、請求書を発行することとなった。
取引の詳細は以下のとおりである。
・相手先:季ラリブログ株式会社
・契約内容:『季ラリ―マン』ブログデザイン一式の受託
・契約金額:220,000円(税込)
・請求書発行日:令和5年5月1日
最初に・・・ 完成形の確認
完成形はこんな感じです↓↓
こんなデザインの請求書が、Excel初心者の方でも1時間程度で作成できてしまいます。
最後まで一緒に頑張りましょう♪
説明の中で同じ作業を繰り返す箇所については説明を簡略化します。
重要な説明は<>書きでタイトルを記載しておきますので、分からなくなった場合には<>書きの処理を参考にしてください。
手順① 行列の幅の調整
Excelを立ち上げたら、まず行列の幅の調整を行います。
最初に列の幅を縮めていきます。列の幅を縮めておくと微調整が効きやすくなるため必ず最初に実施しておくことをお勧めします。
<列幅の調整>
<行の高さの調整>
手順② ページレイアウトの設定
次にページレイアウトをA4サイズに合わせて、表を作成する範囲を確定させていきます。
以下のように『ページレイアウト→サイズ→A4』の順にクリックしてください。
これで、A4版の用紙に入力できる範囲が確定したので、以下のように『表示→ページレイアウト』をクリックし、入力範囲を確認します。
確認したら、次のように『標準』をクリックしてください。
こちらの画面で請求書を作成していきますが、点線で入力できる範囲が分かるようになっています。
手順③ 余白の設定
次に印刷した時の上下左右の余白を設定していきます。
左右が若干余白が広いため、少しだけ狭くするように設定していきます。
次のように左を『1.3』右を『0.8』に変更し、OKをクリックします。
左を若干多めに残しているのは、ファイリングする時に左に穴を開けることが多いからです。
左右の余白を狭く設定したため、入力できる範囲が広がったことが確認できます。
手順④ 字体の設定
次に、表全体に入力する字体を設定していきます。
今回は『HGPゴシックM』という字体を使用します。
<字体の変更>
手順⑤ 文字の大きさの設定
次に、文字の大きさを設定していきます。
必要に応じてところどころ文字の大きさを変更しますが、最初に全体を『12』で設定します。
<文字の大きさの変更>
手順⑥ 請求書デザインの作成
ここまで基本設定を行ってきましたが、ここからデザインの作成に入ります。
タイトル
まずは、一番上の『請求書』の文言を入れていきます。
<セルの結合>
セルの結合は、ショートカットキーでも操作が可能です。
最初の画像で示した『対象範囲の選択』をした状態で、次のボタンを順番に押すとセルが結合されます。
Alt→H→M→M
※Altボタンはキーボード下部の左右にありますが、押すのはどちらか一つで問題ありません。
ここまでできたら、『請求書』の文字を『請〇求〇書』という形で1文字ずつスペースを入れて入力してみましょう。
見栄えが悪い点について1つずつ修正していきます。
<文字の中央揃え(左揃え・右揃え)>
文字の中央揃えは、ショートカットキーでも操作が可能です。
『対象範囲の選択』をした状態で、次のボタンを順番に押すとセルが結合されます。
Alt→H→C→A
※Altボタンはキーボード下部の左右にありますが、押すのはどちらか一つで問題ありません。
<文字の太字化>
文字の太字化は、ショートカットキーでも操作が可能です。
『対象範囲の選択』をした状態で、次のボタンを同時に押すとセルが結合されます。
Ctrl+B(Ctrlを押したままBを押してください。)
※Ctrlボタンはキーボード下部の左右にありますが、押すのはどちらか一つで問題ありません。
次に文字の大きさを『20』に上げます。
これでかなり見やすくなりました。
ここからさらにデザイン性を追求していきます。
文字の色を『白』、背景の色を『薄い黒』にしてみるとどうでしょうか?
<文字色の変更>
<背景色の変更>
請求書の文字が凄く見やすくなりましたね。この調子でどんどん作成していきましょう。
請求書No
請求日
続いて請求日を入力していきます。ここでは『表示形式の変更』機能を利用して、セル内の文字の見た目を変化させる方法を学びましょう。
文字の表示形式の変更機能を利用すると、入力された文字や数値はそのまま残して、セル内の見た目だけを変化させることができます。
Excelは主に『表計算』に使用するツールなので、見た目は変えたいけど計算するための数値を計算できる状態で残したい時はよくあります。
【良く使用する場面】
・日付を西暦、和暦など自由に入力したいとき
・金額にカンマを入れたいとき
・金額の後ろに共通の単位を入れたいとき
・パーセントで割合を表示させたいとき
・入力した文字を文字列として確定させたいとき
下準備として、AA7からAM8のセルを結合させて、右揃えにしておきましょう。
<表示形式の変更(和暦の入力)>
結合したセルに『5/1』と入力してみましょう。どのような表示になるでしょうか?
『5月1日』となっている表示形式を、『令和5年5月1日』と修正していきましょう。
請求者情報
続いて請求者情報を入力していきます。ここでは主に、『折り返して全体を表示・縮小して全体を表示』の機能を利用して、セル内の文字を全体表示させるテクニックを学びましょう。
まず前提として、これまで学習した知識を利用して以下の設定をしてください。
W11~AF11のセル:結合/フォント大きさ『10』/『〒○○○ー○○○○』と入力
W12~AM14のセル:結合/フォント大きさ『12』/『○○県××市△△町◇◇1丁目1番1号 ○○○○マンション202号室』と入力
W15~AF16のセル:結合/フォント大きさ『12』/『○○○○○○デザイン事務所』と入力
W17~AF18のセル:結合/フォント大きさ『12』/『山田 太郎』と入力
Y19~AA19のセル:結合/フォント大きさ『10』/『TEL:』と入力
Y20~AA20のセル:結合/フォント大きさ『10』/『FAX:』と入力
Y21~AA21のセル:結合/フォント大きさ『10』/『MAIL:』と入力
AB19~AM19のセル:結合/フォント大きさ『10』/『111-1111-1111』と入力
AB20~AM20のセル:結合/フォント大きさ『10』/『222-2222-2222』と入力
AB21~AM21のセル:結合/フォント大きさ『10』/『abcdefg@kirari.ne.jp』と入力
次のような見た目になっていることを確認してください。
今回は住所が長く、途中で切れてしまっています。また、MAILの欄が青くなっておりハイパーリンクが設定されています。1つずつ修正していきましょう。
<折り返して全体を表示・縮小して全体を表示>
住所の欄について折り返して全体を表示に設定します。
縮小して全体を表示したい場合には、画像②の『折り返して全体を表示する』のチェックを外し、その下の『縮小して全体を表示する』に変更してください。
折り返して全体を表示は、ショートカットキーでも操作が可能です。
『対象範囲の選択』をした状態で、次のボタンを順番に押すとセルが結合されます。
Alt→H→W
※Altボタンはキーボード下部の左右にありますが、押すのはどちらか一つで問題ありません。
なお、セル内で改行したい場合には、次のボタンを同時に押してください。
Alt+Enter(Altを押したままEnterを押してください。)
※Altボタンはキーボード下部の左右にありますが、押すのはどちらか一つで問題ありません。
<ハイパーリンクの削除>
MAILの欄に設定されたハイパーリンクを削除します。
これで請求者情報の欄が完成しました。
請求先情報
次に請求先情報を入力していきます。ここでは、『プルダウンの作成』について学びましょう。
まず前提として、これまで学習した知識を利用して以下の設定をしてください。
A6~P9のセル:結合/フォント大きさ『14』/『季ラリブログ株式会社』と入力/太字/折り返して全体を表示
A10~T10のセル:結合/フォント大きさ『9』/『下記のとおりご請求申し上げます。』と入力/右揃え
Q8~T9のセル:結合/フォント大きさ『12』/『御中』と入力/太字/中央揃え
次のような見た目になっていることを確認してください。
これで見た目は問題ありませんが、『御中』のところに『様』を入力することがあるかもしれませんので、プルダウンを作成します。
<プルダウンの作成>
件名
次に件名を入力していきます。ここでは、『罫線』について学びましょう。
まず前提として、これまで学習した知識を利用して以下の設定をしてください。
A14~C16のセル:結合/フォント大きさ『12』/『件名:』と入力/太字
D14~T16のセル:結合/フォント大きさ『12』/『『季ラリーマン』ブログデザイン業務委託』と入力(『季ラリーマン』の後ろにAlt+Enterで改行)/太字/折り返して全体を表示
次のような見た目になっていることを確認してください。
ここから『罫線』の機能を使って、件名の下に二重線を入れていきます。
<罫線の設定>
個別に罫線の種類を変えたい場合は、『その他の罫線』から詳細設定を行うことが出来ます。
以下の画像を参考にしてください。
請求金額
次に請求金額の入力をしていきます。ここでは、『表示形式の変更(金額)』について学びましょう。この項目が終われば、新規の学習事項はもうほとんど出てきません。頑張っていきましょう。
まず前提として、これまで学習した知識を利用して以下の設定をしてください。
A19~F21のセル:結合/フォント大きさ『12』/『ご請求金額』と入力/太字/中央揃え/背景色変更(画像①を参照)
G19~P21のセル:結合/フォント大きさ『12』/『220000』と入力/太字/中央揃え
Q19~T21のセル:結合/フォント大きさ『12』/『(税込)』と入力/太字/中央揃え/プルダウン((税込)(税抜)の2つを設定)
罫線:①A19~F21のセルを太枠で囲む ②G19~T21のセルを太枠で囲む(画像②を参照)
【画像①】
【画像②】
次のような見た目になっていることを確認してください。
ではここから、金額として入力した『220000』について『¥220,000』に表示形式を変更していきましょう。
<表示形式の変更(金額)>
次のセルの書式設定の部分は特に、手順をしっかり意識して入力していきましょう。
桁区切りの設定→『¥』マークの挿入の順に処理していきます。
①桁区切りの設定
②『¥』マークの挿入
ユーザー定義では他にも沢山設定できる項目がありますが、1つ1つ覚えていくしかありません。出てきたときにその都度調べて知識を増やすようにしていきましょう。
これで上半分が仕上がりました。下半分は内訳になるので、ここで罫線を使って上半分と下半分を区切る横線を1本入れておきましょう。
A22~AM22のセル:罫線(セル下に点線を追加)(下の画像を参照)
次のような見た目になっていることを確認してください。
内訳欄
次に内訳欄を作成していきます。ここは新しい知識が必要ありませんので、手順だけ記載していきます。確認しながら進めていきましょう。
B24~U25のセル:結合/フォント大きさ『11』/『摘要』と入力/太字/中央揃え
V24~X25のセル:結合/フォント大きさ『11』/『数量』と入力/太字/中央揃え
Y24~Z25のセル:結合/フォント大きさ『11』/『単位』と入力/太字/中央揃え
AA24~AF25のセル:結合/フォント大きさ『11』/『単価』と入力/太字/中央揃え
AG24~AL25のセル:結合/フォント大きさ『11』/『金額』と入力/太字/中央揃え
B26~U28のセル:結合/フォント大きさ『11』/左揃え/折り返して全体を表示
V26~X28のセル:結合/フォント大きさ『11』/中央揃え/折り返して全体を表示
Y26~Z28のセル:結合/フォント大きさ『11』/中央揃え/縮小して全体を表示
AA26~AF28のセル:結合/フォント大きさ『11』/右揃え/折り返して全体を表示/表示形式変更(桁区切りの設定のみ)
AG26~AL28のセル:結合/フォント大きさ『11』/右揃え/折り返して全体を表示/表示形式変更(桁区切りの設定のみ)
次のような見た目になっていることを確認してください。
では次に、B26からAL28のセルを選択して、46列まで下にドラッグしてみましょう。同じボックスが下に6行出来上がります。
内訳の1行目に次の文言を入力してみましょう。
B26~U28のセル:『ブログデザイン料』と入力
V26~X28のセル:『1』と入力
Y26~Z28のセル:『式』と入力
AA26~AF28のセル:『200000』と入力
AG26~AL28のセル:『200000』と入力
次のような見た目になっていることを確認してください。
次に合計欄の作成に入っていきます。
V47~Z48のセル:結合/フォント大きさ『11』/『小計』と入力/太字/中央揃え/背景色変更(下の画像を参照)
V49~Z50のセル:結合/フォント大きさ『11』/『消費税』と入力/太字/中央揃え/背景色変更(下の画像を参照)
V51~Z52のセル:結合/フォント大きさ『11』/『合計金額』と入力/太字/中央揃え/背景色変更(下の画像を参照)
AA47~AL48のセル:結合/フォント大きさ『11』/『200000』と入力/太字/右揃え/表示形式変更(桁区切りの設定のみ)
AA49~AL50のセル:結合/フォント大きさ『11』/『20000』と入力/太字/右揃え/表示形式変更(桁区切りの設定のみ)
AA51~AL52のセル:結合/フォント大きさ『11』/『220000』と入力/太字/右揃え/表示形式変更(桁区切りの設定のみ)
次のような見た目になっていることを確認してください。
ここから内訳欄の罫線を一気に設定していきます。
手順①:まずB24~AL46、V47~AL52を外枠・内枠全て細い線で囲んでしまう。(画像①参照)
手順②:次にB24~AL46、B24~AL25、V47~AL52の外枠を太い線で囲む。(画像②参照)
手順③:V49~AL50の下に下2重罫線を設定する。(画像③参照)
画像①
画像②
画像③
次のような見た目になっていることを確認してください。
備考欄
いよいよ最後の項目、備考欄の作成です。新しい学習項目はありません。簡単なところですが気を抜かず最後まで頑張りましょう。
V54~AL55のセル:結合/フォント大きさ『12』/『備考』と入力/太字/中央揃え/背景色変更(画像①参照)
V56~AL60のセル:結合/フォント大きさ『10』/『振込先:○○銀行 ○○支店 普通 0000000 お支払い期限:令和5年○月○日(金)と入力(『普通 0000000』の後ろにAlt+Enterで改行)/左揃え
罫線:①V54~AL55のセルを太枠で囲む ②V56~AL60のセルを太枠で囲む(画像②参照)
画像①
画像②
次のような見た目になっていることを確認してください。
これで完成しました。完成形を確認してください。
最後まで一緒に頑張ってくださった皆さん、本当にお疲れ様でした。
完成版のダウンロード
すぐに使える完成版の書式を以下でダウンロードできるようにしておきます。
もし書式だけすぐに使用したいという方がいらっしゃいましたらこちらをご使用ください。
(Excel版)請求書書式のダウンロードはこちら
おわりに
皆さん、いかがだったでしょうか。Excelをほとんど触ったことがない方であれば、作業をしている中で疑問に感じたところも少なからずあったと思います。
しかし、どんなことでも『とりあえず前に進む』『やりながら考える』というスタンスは、物事を成功させる上で凄く大切な考え方だとわたしは思っています。いっぱい失敗をする。また、前に進みながらやっていく中でわからないことを潰していく。そうして人間は学び成長していきます。
少しづつでも大丈夫です。一緒に学び行動していきましょう。
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