皆さんこんにちは、季ラリです。
今回のテーマは、『生活保護のケースワーカーとはどんな仕事をする人?』です。
「ケースワーカー」という言葉、皆さんは聞いたことがありますか?
「ケースワーカー」とは、生活に課題を抱えている方々の相談を受け、支援するお仕事をされている方々のことを指します。
ここにいう生活に課題を抱えている方々とは、具体的には「貧しくてご飯も食べられないくらい生活に困っている人」「病気や障害の影響で普通に日常生活が送れない人」などが対象になります。
生活保護のケースワーカーは、市区町村(自治体によっては都道府県)の行政職または福祉職の職員であり、各自治体の福祉事務所にて勤務されている公務員になります。
今回は、実際に生活保護のケースワーカーとして現役で福祉事務所にて勤務しているわたしの妻にインタビューし、その仕事の内容について詳しく調査いたしましたので、皆さんに紹介したいと思います。
「これからケースワーカーとして仕事をしてみたい」と考えていらっしゃる方、また、「生活保護を受給しているけどいつもケースワーカーさんは裏でどんな仕事をされているんだろう?」と疑問に思っていらっしゃった方、などにとって凄く有用な内容になっていますので、是非最後までご覧になってください。
また、ケースワーカーに向いてる人の特徴を知りたい方は、
「大変だけど楽しい?生活保護のケースワーカーに向いている人の特徴7選|体力?傾聴力?」
の記事を合わせて読んでみてください。
さらに宣伝になりますが、以下の『健康で文化的な最低限度の生活』という漫画、ケースワーカーの仕事が凄くよくわかり面白いので、この記事をお読みになって興味を持っていただいた方は是非読んでみてください。
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この記事が参考になる人
・ケースワーカーの仕事に興味がある人
・生活保護を受給されている方でケースワーカーが裏でどんな仕事をしているのか興味がある人
生活保護のケースワーカーの仕事
では早速、生活保護のケースワーカーの仕事内容について説明させていただきます。
大別すると次のようなものがあります。
生活保護のケースワーカーの具体的仕事内容
・生活相談及び援助方針の決定
・生活保護費の算定
・ケース記録の作成
・居宅訪問及び通院同行
・ケースカンファレンスやサービス担当者会議への参加
・ケース診断会議での事案審議
・自立支援相談員との調整
・医療券や介護券の発行(医療担当への発行依頼)
・施設入所支援
1つ1つ具体的に説明させていただきます。
仕事① 生活相談及び援助方針の決定
仕事1つ目は、『生活相談及び援助方針の決定』です。
生活保護のケースワーカーになると、生活保護受給者(以下「ケース」と言います。)より、日々生活課題に係る相談を受けることになります。
それは、「体の状態が悪く歩けなくなってきたけどどうしよう」「就職したいけど就職先が見つからないから支援してほしい」といった、福祉事務所で解決に寄与できるものもあれば、「隣の家がうるさく眠れない」「生活保護費をギャンブルで使い込んで食べるものがない」といったような、福祉事務所では何もできないものもあります。
ケースワーカーは、ケースから受けた相談1つ1つについて、援助可能なことか否かを判断し、丁寧に説明をしていきます。
困難な事案については、上司(査察指導員という。)に相談をし、一緒に検討していくこともあります。
生活保護開始時に1人1人に対する『援助方針』を立てますが、必要に応じてその『援助方針』を見直して、その方にあった「自立支援」を行っていくことになります。
仕事② 生活保護費の算定
仕事2つ目は、『生活保護費の算定』です。
ケースに対して支給される生活保護費の基礎額は決まっており、システム上で自動計算されているものの、月によって変化することがあります。
具体的には次のような場合です。
<生活保護費の追加計算が必要な場合>
・収入があるケースで、毎月その金額が変化する場合
・通院の交通費やおむつ代などの一時扶助費を支給する場合
・期末一時扶助や冬季加算など一時的に生活保護費が増額される月である場合
・ケースの居住実態が変化した場合(入退院・引っ越しなど)
・ケースの世帯員が増減した場合(死亡・出産など)
このような場合には、ケースワーカーがシステムにその情報を入力する必要があります。
ケースワーカー一人あたり、おおよそ70~100世帯のケースを担当していますので、この追加計算の情報を入力するだけでも多くの時間を要します。
月ごとの入力締め切り日の前になると残業する職員が増える傾向にあり、このシステム入力をいかに計画的に行うかがケースワーカーにとって大きなポイントとなります。
仕事③ ケース記録の作成
仕事3つ目は、『ケース記録の作成』です。
ケースワーカーは、ケースから相談を受けたり、ケースの状態に変化があったり、また、生活保護費の再計算を行った時は、「ケース記録」というものに記録をしなければなりません。
この記録の作成が凄く大変で、頻繁に動きのあるケースであれば、毎日記録を書かなければならないということも珍しくありません。
しかし「ケース記録」を作成し共有しておくことで、担当のケースワーカーが外出している時に他の職員が対応することができたり、後々何かのトラブルで裁判になった時の根拠資料に使用できたりと非常に大切な役割を担うものになります。
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仕事④ 居宅訪問及び通院同行
仕事4つ目は、『居宅訪問及び通院同行』です。
ケースワーカーは、各ケースに対し年に2回以上の居宅訪問を行うことが法律で義務付けられています。(例外として、病院に入院していたり施設に入所しているケースについては年1回の訪問となります。)
年に2回の訪問が一般的ですが、よりしっかりと監督をしなければならないケースに対しては、年に3~4回訪問を行うこともあります。
訪問時には、「生活に変化はないか」「通院を継続できているか」など詳しく聞き取りを行い、これに基づいて各ケースの『援助方針』を立てることになります。
また、ケースによっては何らかの事情で一人で通院ができないケースもおり、付き添える家族がいない場合には必要に応じて通院同行を行うこともあります。
「介護保険制度の利用が必要である」「就労の可否について医師の判断が必要である」など、合理的理由がある時は特に、積極的な通院を促し、通院同行を行います。
仕事⑤ ケースカンファレンスやサービス担当者会議への参加
仕事5つ目は、『ケースカンファレンスやサービス担当者会議への参加』です。
ケースが病院に長期にわたって入院している場合には、定期的に病院にて「ケースカンファレンス」が開催されます。「病状の回復状況」や「リハビリの進捗状況」などについて病院の医師やソーシャルワーカーより報告があり、退院後の必要な支援について話し合いを行います。
また、ケースが「歩けなくなった」「寝たきりになった」など、居宅生活を送るにあたって支援が必要になった際には、国の『介護保険制度』というものを利用します。
市区町村の介護保険課において介護認定の審査がなされ、その結果「要支援」または「要介護」の認定が出ると、その要支援または要介護者一人一人に対しケアマネジャー(介護支援専門員)がつき、一人一人の支援方針(ケアプラン)が作成されます。
そして、「こういう支援を導入しますよ」という方針を支援に携わる関係者に説明するために「サービス担当者会議」が開催され、ケースワーカーも出席し、必要に応じて助言を行うこととなります。
仕事⑥ ケース診断会議での事案審議
仕事6つ目は、『ケース診断会議での事案審議』です。
ケースワーカーが受ける相談の中には、非常に判断が難しい事案があります。
このような難しい事案については、福祉事務所にて定期的に開催されている『ケース診断会議』にかけて、組織的な決定を行うこととなり、この『ケース診断会議』の審議にかけることもケースワーカーの重要な仕事となります。
『ケース診断会議』にかける必要があるものについては、以下のようなものがあります。
<ケース診断会議にかける必要がある場合>
・ケースワーカーの指示に従わないケースの生活保護を廃止にする場合
・収入を隠していたケースの生活保護費の返還を決定する場合
・事業所得者の必要経費について認定できるものか否か判断ができない場合
・一時扶助費を支給できるか否か判断できない場合
仕事⑦ 自立支援相談員との調整
仕事7つ目は、『自立支援相談員との調整』です。
各福祉事務所には、「就学児支援」「健康支援」「就労支援」「精神支援」など各種分野の支援員が在籍しており、各ケースの必要に応じてそれぞれの支援員に繋げて、支援を依頼することがあります。
「このケースには特にこの分野について専門支援員をつけることが必要だな」と判断をして、それぞれの支援員と調整し、支援につなげることもケースワーカーの大切な役割となります。
仕事⑧ 医療券や介護券の発行(医療担当への発行依頼)
仕事8つ目は、『医療券や介護券の発行』です。
生活保護を受給するようになると健康保険証は回収され、代わりに病院を受診する際には「医療券」というものを発行しなければなりません。
ケースワーカーは、ケースから「病院にかかりたい」という連絡があったら、「医療券」の発行を各福祉事務所の医療担当に依頼します。
医療担当より各病院宛に「医療券」が送付され、その医療券をもってケースが病院を受診できるようになります。
また、仕事⑤でも紹介させていただいた、「介護保険制度」の介護サービスを受けるケースについては、ケアプランに基づいてサービスを提供する事業所宛に「介護券」というものを発行しなければなりません。
この「介護券」についても、「医療券」と同様、ケースワーカーより福祉事務所の医療担当に依頼をし、医療担当より各サービス事業所宛に送付される流れとなります。
仕事⑨ 施設入所支援
最後、仕事9つ目は、『施設入所支援』です。
「高齢で居宅生活が難しくなったケース」や「アルコール依存症のケース」、「ホームレスで家がない状態で相談に来たケース」などに対しては、特別養護老人ホームや更生施設、民泊などの「施設入所」を支援することとなります。
施設を探して、ケースが動けない場合には必要な物品を買いに行き、一緒に同行して施設に入所させる。この一連の流れを全てケースワーカーが行うこととなり、『施設入所支援』はケースワーカーにとって非常に大きな仕事になります。
おわりに
皆さんいかがだったでしょうか。
今回紹介させていただいたとおり、ケースワーカーの仕事は多岐にわたり、各分野において必要な専門的知識も多く、非常に大変なお仕事であると言えます。
しかし、ケース1人1人の人生に関わることができ、沢山の人々の生活課題の解決に貢献できるケースワーカーの仕事は非常にやりがいがあって楽しいものでもあります。
この記事を最後までお読みになった皆さんの中で、一人でも多くケースワーカーの仕事に興味を持っていただけたら非常に嬉しく思います。
これからも、皆さんにとって有用な情報を沢山提供していきたいと考えておりますので、一緒に学び成長していきましょう。
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